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Volume 4 No.1
November 1998
The Japan Journal of Multilingualism and Multiculturalism
多言語多文化研究
二言語習得児の言語選択と混合
両親の言語使用が及ぼす影響

デール・ハスケル
慶応義塾大学文学部


二ヶ国語の使用と習得に関するこの事例研究は、二言語(日・英)、二
つの文化を背景に持つ日本在住の家族に焦点を当てる。家庭での言
語環境に関するインタビューと、両親(日本人の母親とイギリス人の父
親)と長女のShakti (沙紅庭、4;3~5;6才)の会話を録音したものから、
長女の言語の選択と混合に影響する要素を分析した。Shakti の言語
選択・混合のいくつかの例は、一つの言語の語彙欠陥、同じ会話の中
で他言語の用語使用、あるいは、日本語習得の優勢度に由来したと
思われるが、言語選択・混合の主要な要因は生活環境と両親の言語
使用状況にあると推測される。家庭内での活発な二ヶ国語使用を進め
るため、両親とも子供達に対して自らの母国語のみを使用する(One
Parent- One Language)方針を取っているにもかかわらず、両親が
二言語を混合し、母国語以外の言語を使用している状況が観察され
た。家族内での会話を録音し分析した結果、両親の言語使用状況が
Shaktiの言語の選択と混合に影響を与えている事が推測される。
Shaktiの両親が家庭内での言語使用に於いて、日本語と英語のコード
切り換えを容認している事が、二者間での会話においてコード切り換
えと二言語併用を助長しているバイリンガル環境 (Lanza, 1992) を設
定していると観察された。家庭での言語環境の背景より、Shaktiの言
語混合は、状況に応じて二言語を使い分ける大人の会話法に未習熟
である事に起因すると解釈する事が出来るであろう。