日本人の母親に見られる言語使用ストラテジー
子どもの不適切な言語選択に応答して
ビクトリア工科大学アジア国際学科
竹内成江
国際結婚における二言語併用家庭で、子どもに対して親が母語の
みを使用する言語選択方針「一親一言語」(one parent-one language)
は、幼児の二言語習得に比較的有効であるが、小学校に就学すると
地域言語との接触が増し、その言語が優勢になり、少数言語の保持
は難しいとに考えられている。本稿では、オーストラリアで「一親一言
語」方針で日本語と英語を同時に習得している四人の小学生とその
母親との会話を観察した。母親との会話に日本語のみを使用すること
が原則なので、子どもが英語を使用した場合における母親のストラテ
ジーとその後の子どもの言語選択との関係を分析した。結果は、日本
人の母親が日本語だけで子どもに話しかける率が高く、子どもが英語
を使った時に、日本語の翻訳を与えるストラテジーを併用したことが、
子どもが積極的に日本語を使用したことと関連していた。母親のこの
ような会話スタイルが子どもの日本語保持につながるということが示
唆されている。