ハーフか、ダブルか、それともその中間か?
バイレイシャル日本人の多様なアイデンティティ
ティム・グリア
北海道大学
本稿は、バイレイシャル(biracial) のアイデンティティに関する先行研究
のうち、特に日本語と英語の二言語を話す親を持つ人を対象とする研
究を扱う。バイレイシャルアイデンティティという概念は二文化の連続体
の両極に存在するのではなく、常に流動的で、それらの中央部分に存
在する。すなわち、バイレイシャルの人は、父の文化、母の文化、そし
て自分独自の第三文化にアクセスするアイデンティティを持っている。
本稿は、まず「ハーフ」や「ダブル」などの呼称の問題、そして日本人
論にみられる単一民族神話について論じ、次に、バイレイシャルである
日本人のアイデンティティに関して、二重文化、バイレイシャル、バイリ
ンガル、ディアスポラとしてのアイデンティティといった様々な領域にお
ける研究を吟味する。最後に、著者が関心を持つ言語とアイデンティテ
ィの関連について、今後の研究課題を提示する。