異文化コミュニケーションにおける「頷き」行為
高知大学、ロジャー・ナン
高知大学、田村真哉
本研究は、異文化間コミュニケーションにおける非言語的コミュニケーション
の分析を目的とする。分析に使用したデータは、二人の日本人学生と英語
を母語とする学生二人によるロールプレイをビデオテープに収録したもので
ある。ロールプレイでは、参加者の一人は二人の相手を説得し、また、説得
される側の二人はその説得にできる限り抵抗するという役割が課せられて
おり、どちらの立場の学生も相手の「面子」を脅かす(Face-threatening)
役割を演じることが要求されていた。分析には二通りの研究方法を取った。
まず、非言語的コミュニケーションにおける現象を何種類か取り上げ、その
頻度を比較すると、「頷き」行為(HeadNodding)が顕著な特徴であることが
判明した。次に、この異文化間の会話の進行を特徴付けた「頷き」の機能・
効果について、三つの事例を詳細に分析することで、語用論的解釈を行っ
た。これらの事例は、日本人学生が限られた言語能力を以って「面子」を脅
かすような異文化間コミュニケーションを続けることの難しさを明示している。
つまり、頻繁に頷くことは、発言権を持つ話者の話の進行を支援、促進する
ことで参加者間の極めて重要な連帯感を生む助けとなる一方で、会話に不
可欠な情報交換の達成をいっそう困難なものにしていることが明らかになっ
た。