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同時二言語習得児におけるバイリンガル意識の発達

森(三品)聡美
立教大学法学部

本論文は、ニ言語を同時習得している子供たちのバイリンガル意識がどのように
して発達していくかに焦点をあてたものである。これまでバイリンガル幼児の言語
発達を扱った研究の多くは、子供たちのバイリンガル意識の表れとされる言語行
動について報告している。例えば、相手や場面に対応した言語(コード)切り換え、
1つの物に対する両言語の名称の習得、自らの、あるいは相手から指摘された言
語選択ミスの修正、1つの言語で言われた内容をもう片方の言語で第三者に伝え
ること、発話にラベル(「日本語」とか「ママの言い回し」など)を付けることなどが、
2つの言語を意識していることを示しているとされてきた。しかし、そのような意識の
発達過程についてはこれまで扱われてこなかった。また、バイリンガル意識がニ言
語分化を促すというのが定説であるが、この二者の関係はいまだ解明されていな
い。この関係を解明し、異なる2つの言語と関わっている意識がどのように発達する
かを調べるために、両親が各々の母語のみで子供に話すという環境下で、日本語
と英語を習得している二人の幼児を、2歳から3歳にかけて約1年間、月ごとに観察
した。各親と子供との自然なやりとりをテープ録音ならびにビデオ録画し、バイリンガ
ル意識の表れを記録した。その結果、子供たちが2歳を過ぎた頃から二言語を意識
していると考えられる言語行動が観察されるようになった。また、このような言語行動
は、おおよそ、他者修正、自己修正、翻訳、そして言語のラベル付けの順序で現れ
た。また、本データは、ニ言語の区別がバイリンガル意識の誘引となった可能性も示
しており、バイリンガルの意識が二言語の区別を促進するとするこれまでの説とは異
なる見解を提示している。
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Volume 10, No.1
2004年11月
The Japan Journal of Multilingualism and Multiculturalism
多言語多文化研究
bsig.org