バイリンガル児童の識字力に見られる日本語から英語への正の転移
メリディス・スティーヴェンズ
広島修道大学
リチャード・ブライト
愛媛大学
この研究は英語と日本語のバイリンガル児童における英語の識字力の発達を調査した報告である。
被験者は日本の小学校に在籍し、そこで日本語を習得しながら、休暇を利用しオーストラリアの小学
校に短期間在籍し英語の習得を試みている。それは、被験者の日本語能力は順調に発達している
が、英語に触れる機会が少ないため、英語の習得が遅れることを、オーストラリア人である保護者が
懸念したからである。被験者は、オーストラリアの全国国語テスト(3年生用)において、読解は優、
作文は良の成績を得たが、スペル能力は劣っているとの結果を得た。日豪の学校で同じ就学期間を
経ることなく、英語に関する読解力の向上や作文力の上達が見られた。しかし、スペル能力の伸長
には、就学期間が同じであることが必要であるかもしれない。読解と作文において見られる正の転移
は、英語と日本語における言語的相互依存
(linguistic interdependence) (
Cummins, 1984a) を示すが、スペル能力は 読解や作文とは異なり、「共有基底言語能力」の影響を
受けない言語特有の知識に関係すると思われる。被験者の言語能力の正の転移は、識字能力に潜
在する言語技能の発達に特に関連していると思われる。しかしながら、スペル能力などの言語特有の
言語発達については、その言語で教育を受けることが重要な要素であるようだ。