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マルチエスニック・アイデンティティ に潜められるパラドックスの再検討
ー流動性のある概念の提供へ

ティム・グリア、神戸大学、国際コミュニケーション・センター

呼び名は「ハーフ」であろうが「ダブル」であろうが、日本におけるマルチエスニック
の人々のアイデンティティは、とかく二元的なものとしてとらえられがちである。本
論文は,その様な二元的なニュアンスの必然性を認めながらも、「ハーフ」の概念を
再検討し、これを流動性や柔軟性のある、環境に依存した多民族アイデンティティ
として描く事を目標にする。12人のマルチエスニック日本人青年とのグループ面接
調査法に基づいた質的な分析により、マルチエスニック・アイデンティティのパラドッ
クスを、2つのはっきりした対比としてではなく、個人の自己イメージの中に共存す
る、変化に富む様々な面として描きだされた。ディスカッションから特に浮かび出た
ことは、マルチエスニック日本人が談話の中にポジショニング(固定したアイデンテ
ィティを押し付けられること: Harre & van Langenhove, 1999)をされる傾向である。
そのポジショニングの傾向には、エリートであると同時に社会の周縁に存在するも
のとして見られたり、民族的に日本人もしくは非日本人であるとみなされたり、ある
いは文化に関する専門家であるかもしくは(特に日本文化に関する)初心者として
見られたりすることが含まれる。

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Volume 11, No.1
2005年10月
The Japan Journal of Multilingualism and Multiculturalism
多言語多文化研究
bsig.org