コード切り替え語用論的能力の発達—
2歳児と4歳児の日英バイリンガル幼児の場合
板垣静香
関西学院大学大学院
言語コミュニケーション文化研究科
本研究は、日本在住の日英バイリンガル幼児二名(姉4歳、妹2歳)の
行ったコード切り替え (以下CS)の実例を基に、早期バイリンガルのCSの
機能と発達を考察したものである。二週間に一度、30分程度家族の会話を
録音し、CSの起こった部分を書き起こしてデータを収集し、質的、量的に分
析した。質的分析では、CSを以下の10種類の機能に分類した:分からない
語彙を片方の言語で補うCS、求めに応じたCS、対話者に合わせて自ら行
うCS、強調のためのCS、対話者の注意を引くためのCS、引用、メタ言語的
発言を含むCS、言い直しのCS、ロール・プレイ中のCS、独り言のCSであ
る。量的分析では、彼女らのCS使用をが、機能、頻度、方向の面から提示
されている。その結果、2歳児でも、対話者や状況といったコンテクストに即
して正しい言語選択を行い、さらには簡単な会話的CSをも行っていることが
分かった。4歳児のほうは、より高度な機能を持つ会話的CSを行っており、
バイリンガルであることや、二言語使用に対する自覚が高まっている様子が
うかがえる。これは、子どもの成長に応じて、CSを語用論的な機能のために
使用する能力が高まったことを示している。二人の児童が各コード切り替え
機能を使い始めた順序は、Köppe & Meisel (1995)の先行研究と類似してい
た。これは、バイリンガルが、有効な会話手段としてのCSを早くから習得し、
発達させていることの表れであろう。