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言語少数派の子どもの学習支援における母語活用の
可能性の追求—
来日直後の中国人児童を対象とした「国語」支援の実例からの検討

清田淳子
お茶の水女子大学大学院

近年、日本社会の急速な国際化や法律の改正に伴い、日本語以外の
言語を母語とする言語少数派の子どもたちが増加している。教科学習
場面における母語の活用は、子どもたちの認知的な発達を阻害しない
ためにも、学習に対する意欲をもたせるためにも重要であることはクロ
フォード(1994)などに指摘されているのにも関わらず、日本の現状で
は、母語を活用するという発想は教科書の対訳本の作成や通訳の派
遣制度などに具体化されているにすぎない。教科学習に母語を活用す
る可能性の具体像を描くために、本研究では、子どもの母語がわかる
母語話者支援者が、母語を用いて学習支援を行っている実例を取り上
げ、その学習内容や母語話者支援者の働きかけの実態を報告・分析
する。
学習支援の対象は来日直後の中国出身の男子児童(小学5年)で、
取り上げた教科は「国語」である。学習支援は、岡崎(1997)が提案
した「教科・母語・日本語相互育成学習」の枠組みに基づき、筆者と中
国出身の大学院生が協働して行った。「母語による先行学習」の内容
と母語話者支援者の働きかけを、支援の三つの時期(支援開始、半年
後、8ヶ月後)ごとに検討したところ、来日直後では、「学校の授業」と
同レベルの読解課題を扱っていた。半年後の時点では、学年相応の課
題に加え、教材文の表現技巧に着目したり、教材文に描かれた情景
や概念を中国語の四字成語を用いてとらえたりなどの取り組みも見ら
れた。支援開始8ヶ月後では、教材文の記述に即した読解課題に終
始するのではなく、教材文のテーマに関する子どもの既有知識を活性
化させる課題や子どもに読みの目当てをもたせる課題が設定された。
以上のことから、母語話者支援者は、「国語」の教材文について内容
理解の基盤を作る、子どものもつ高度な知識や理解、洗練された母語
の力を発揮する場を保障する、学習への動機づけを強化するという働き
かけをしていることが見出された。


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Volume 12, No.1
November, 2006
The Japan Journal of Multilingualism and Multiculturalism
多言語多文化研究
bsig.org